…時々、晴れ雨。

グレーな私と子供たちを取り巻く日々を。

滾ってる女 (たぎって)①

長くお母さんをやっていますと、
子供を通して色々な方と知り合います。いわゆる「ママ友」です。
うちは子供が複数いますので 幼稚園時代から数えると結構な数になります。

子供の年齢が上がると共に疎遠になっていき 数も減っていくけれど、かと言って近くに住んでいれば関わる必要も多々あるので さっぱり切れたりするものでもありません。

そして子供を介しての付き合いは他の友人関係とは少し異なります。
仲が拗れると立て直す事が難しいのは大人だから?それとも「ママ友」の成り立ちが関係を複雑にしているの?
それは分かりませんが 互いに維持していくにあたって今更ながらに私が思うのは
「あぁ、滾ってる女は難しい。」って事です。


「滾る」〜たぎる〜
 ⑴川が逆巻いて激しく流れる。 
 ⑵煮えたつ
 ⑶ 激する気持ちが盛んに沸き起こる

…などなどの意味があります。
私は時々 ママ友に「滾る女」の側面を見つけて、怖いと感じる事がありました。

字や意味合いだけを見ると「喜怒哀楽が激しい」とか「ヒステリック」な方をイメージされるかと思いますが、私が思う滾ってる人は、ちと違います。

例えば好き嫌いがハッキリしていて尚且つ 顔や態度に出す人は意思が大変明確ですよね。
酷い方になると嫌いな相手に悪意を持った態度をわざとぶつけますが
それは性格によるもので今回はまた別のお話。

学校行事などの集まりなどで、ちょっとしたやり取りから 空気が悪くなる時がありますよね。
はっきりした意思表示をする方が
気分を害した様子が有り有りと分かる。
ですが 大体こう言った人は何処にでもいて、周囲も既に気づいている事が多いので、場が荒れない様にと察した周囲の対応により 大きなトラブルに発展する事は意外とならないものです。

まぁ これは周囲の気遣いがあればこそ大事にならないだけですし フォローする方はそれなりに大変で困るので疲れますが。
ただ、このタイプは感情を滾らせたとしてもすぐさま放出するので、激昂した場合には言い分を吐きださせて気分が収まるのを待てば良いのです。
(問題が解決するかどうかは別として)

私が思う「滾る女」は上記のような気性が荒いとか激しい女性を指しているのではありません。

同じ状況にあって
普段温和で、柔和な笑顔を絶やさない人。
滅多に悪口などを言わず、文句も言わない優しい人。
……なはずの、深い穴の中に見えた激しい感情の炎を持つ人をそう呼びます。

でも、それはいつでも「後」になって分かるのです。


かなり前になりますが、娘が幼稚園に通っていた頃に仲良くなった方で
、いつも笑顔で誰にでも優しいママさんがいました。
名前をアユさんと言います。

ある時、同じクラスのママさん数人で 少し遠い大きな公園で遊ぶ企画が持ち上がりました。
私も 彼女も子連れで参加したのですが他のメンバーの中にAさん親子がいました。

Aさんは敷地が広くて遊具もたくさんある公園だと言うのに、なぜか短めのスカートに ヒールが高いブーツで登場。
おしゃれと言われたらそうかもしれないけど ここは公園。
「いやいや場にそぐわないでしょ。
と私は内心思いました。 

格好は人の好みですから 別に構わないのですが、問題はそこではありません。
Aさんは、きさくで明るくて性格も悪くないのですが マイペースで子育ては放任気味でした。
自分の子供が走り回ろうが、誰かに迷惑をかけようが謝りもせず傍観。
転んで泣いたり、愚図っていても遠くから 声をかけるものの動く気配もないのです。
そしてAさんのお子さんも元気な子だったので 危ない遊びをしたり、お友達との小さな諍いが絶えませんでした。
その度に 居合わせた他のママが仕方なくAさんの子供のお世話をする事がしょっちゅうでした。
当時Aさんと仲が良かったのがアユさんで いつも一緒に行動していて、Aさんのお子さんの面倒も良く見ていたのを覚えています。

私も他のママ達もAさんの出で立ちを見て「あ〜今日もあの人は動かないつもりだな。」と悟りました。
案の定、子供達が遊具の順番を巡り揉め始めてもAさんは 知らん顔。
のんびりシートに座りお菓子を食べ お喋りに興じています。
Aさんの子供さんが喧嘩で泣き出しても仲裁に動くのは相手の子供のママだけで、遠くから
「ほら。もう泣かなーい!」と声をかけるくらいです。
いつもの事ですが 今日は喧嘩したお子さんのママはアユさんでした。

仲裁を終え戻って来たアユさんに
 「ごめんね〜。」とAさんが言うと
「いいよ、いいよ。」と笑顔で答えるアユさん。
Aさんは冗談めかして「この靴履きにくくてさ〜。行く前に終わっちゃってたし。」と言いました。

は?何それ。
一瞬 その場の空気が止まりましたが
それを破ったのは「…だよね〜。」と言うアユさんの明るい声。
遅れて皆んなの苦笑いが続きます。

私はいつもの事と思いつつも 、内心は冗談だとしても そんな言い分は無いだろう。とAさんに対し少しイラっとしました。
他の人にも同じものを感じたのですが、アユさんは いつも通り笑顔のまま。

幾ら仲が良いとは言え、彼女はAさんの発言に対しどう感じているんだろうかと不思議でした。
あの場で文句を言って雰囲気を壊すのも…とアユさんは考えたのかも知れませんが、不満に感じたのだとしたら もう少し出してもいいんじゃないのかと思ったのです。

それで二人になった時にさりげなく
先ほどの話をアユさんににふってみました。
と言っても普段二人は仲が良い訳ですから、直接的な批判はしませんでした。
(私の発言がどんな形でAさんに伝わるの分からないからです。)
なので 
さっきの子供たちの喧嘩は大丈夫だった?と言う話から
    *仲裁に動いたのはアユさんだけだったね。
    *Aさんが仲裁に行かなかった理由が靴だったけど、私はあんまり納得出来なかったな。
そもそも公園に行くのを分かってて
動きにくい服装を何で選んだろうね
、困っちゃうねよね〜
…などをやんわりとした口調で聞いてみました。

「う〜ん。Aちゃんはおしゃれ番長だから。私なんか いつも怒られちゃうんだよね。ママだからって気を抜いたらだめだよーって。それに さっきも うちの子が泣いちゃったから、私が気になって行っただけなんだよ。
と、Aさんの発言を怒っておらず あくまで 大したことではないのに、自分が気になったから仲裁に入ったまでの事だと言ったのです。
私もそれ以上は話を続けませんでした。
元々二人は私が知り合う前から仲が良かったので  本人が良いのなら口を出す必要も無かったのです。

…ところが。
公園で遊んで1ヶ月位から 二人の関係に変化がありました。
参観などの行事にアユさんが始まるギリギリか もしくは遅れてくる様になったのです。 
その場で話す人もAさんではなくなりました。

最初はアユさんのお子さんの付き合うお友達が変わったのかな?と思いましたが、みんなで集まる時にアユさんは来るけれどAさんは外れるようになったし、逆にAさんが参加すると決まってアユさんは来ないのです。

つまりアユさんがAさんと距離を置き始めたという事です。
クラス替えを控えてもう付き合いを絶っても構わないと考えたのかもしれません。

正直驚きはしませんでした。悪い人ではないものの、Aさんのマイペースさに合わせ辛さを感じたのかな⁇と
周囲もなんとなく感じていたからです。
ですが 人と距離を置く事が良くあると共に、アユさんの縁の切り方が少々唐突に私の目には映りました。
 ひと月前には二組の親子はあんなに仲が良かった(と思っていた)のに、この短期間に何か決定的な仲違いをしてしまったんだろうか。
あるいは… 

私は思うのです。
アユさんは Aさんに対してずっと怒っていたのではないかと。少なくともあの公園での出来事に対しては怒っていたんだろうな、と。
我慢の許容量をついに超えてしまったのでしょうか。
ただ私達が思っていたよりも彼女の不満や怒りは深かったのかもしれません。
最終的には一緒に通っていた子供の習い事も何も言わず辞めてしまったそうです。
Aさんの「辞めちゃったんだって?」のメールに 兄弟の他の習い事の送迎が忙しい旨の返信があったそうです
園内でのお子さん同士の仲は変わらないのかもしれないけれど、それ以外では 遊んでいるのを見かけた事はありません。
この年代では 親の付き合いが切れると 友達が変わる。そう思うと何だか寂しい気持ちがしました。

少しだけでも不満を出しても良かったんじゃないかな。
何処に対して自分は嫌だと感じるかを相手に伝えれてればこんな風に気まずく別れる事にはならなかったのかもな。
と、私は漠然と考えました。
アユさんの笑顔は周囲への気遣いであったと思います。
でも その反面、負の感情を見せない為の鎧だったんだろうなと思いました。
公園で嫌な思いをした時でさえ ずっと笑顔だったの思い返すと 彼女の身の内に煮え滾っていただろう感情の激しさを想像して「…あ この人、少し怖い。」そう思ったのです。

でも 実際それが分かったのは やはりずっとずっと「後」の事でした。